『孫子の兵法』とは?

*もっとも訴えたかったことは「戦わずしてかつ!」ということ。

 『孫子』が著されたのは、今からおよそ2500年ほど前の中国です。当時の中国は春秋時代の末期にあたり、数あまたの国家が中国国内にひしめき合い、国家間の戦争も絶えませんでした。

 そんな中に一つ呉(ご)という国があり、そこに『孫武(そんぶ)』という一人の将軍がいました。この孫武がチョした兵法書が『孫子』です。


 孫子の『子』は尊称で、先生という意味にとらえてかまいません(以下、混乱を避けるために、書物を示すときは『孫子』、人物としての孫子は『孫武』として表します)。


 『孫子』は、単に戦場における戦い方だけでなく、戦う前の心得、準備のやり方を説いています。

 
 しかし、『孫子』がもっとも訴えたかったのは、「戦わずして勝つということだったのです。

 『孫子』より前の戦争では、「勝敗は、天運によって決定づけられるもの」とされていました。


 孫武は、「戦争の勝敗には、それなりの合理的理由があるはずだ」と喝破(かっぱ)し、勝利への方程式を見出しのです。これをまとめ上げたのが『孫子』です。

 『孫子』の文字数は、わずかに6000字前後です。400字詰めの原稿用紙にしたためても20枚にも満たないという少なさです。この少ない文字数の中に、勝利を得るためのエッセンス、成功を収めるためのエッセンスが凝縮されています。

 『孫子』は、ただ単に戦争の戦略メカニズムを解いた指南書ではなく、現代のビジネスや人生の勝ち方を教える最高の指南書でもあるのです。